広島高等裁判所 昭和28年(う)333号 判決
(イ) 関税法第七六条にいうところの輸入とは、陸上にあつては国境線をこえ海上にあつては船舶から陸揚して貨物を我国内に搬入する行為を指称するのであつて、外国貨物を積載した船舶が我が領海は勿論、我が港内に入つても、これをもつてしては未だ貨物の輸入があつたものということが出来ないものと解すべきである。ところで本件貨物は原判示の通り被告人によつて陸揚輸入されたのであるから被告人からその原価に相当する金額を追徴すべきこともとより当然というべきである。
(ロ) 又同法第八三条にいうところの沒収すること能はざる物の原価とは、その物の輸入港における著価格を指称するものと解すべきであるところ、被告人の大蔵事務官に対する質問調書によると、被告人は原判示の大原港(同港が輸入港たる呉港に近接していることは当裁判所に顕著であり、従つて両港間に到着価格の相異はないものと認める)附近において我謝某から一屯一二万円の割合で買受け、間もなくこれを一屯一五万円の割合で売却したことが認められるから、原判示貨物の原価は、少くとも一屯につき金一二万円であつたと認めるを相当とすべく原審が根拠の十分でない大蔵事務官の鑑定書によつて、これを認めたのは誤りであつて、その誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決はこの点において破棄を免れない。